本を薦めた記録:2018.6.12(3冊)
久しぶりに会う友人とお互いに自己完結しあった結果*1、ランチのお店のほかにとりたてて予定を立てないでいた日だった。ランチとカフェとをはしごして、どこへ行こう何を行こうと話したところ、「本を一冊お薦めしてほしい」ということで、本屋へ向かった。
道すがら、何度か「一冊だけよ、一冊だけだからね」と念押しされる。そう言われるに足る前科があるのだった。わかりましたと頷いて、どんな本がいい? と訊ねた。一冊完結がいいか、シリーズでもいいか。厚い本がいいか、薄めがいいか。
本屋にたどりつくまでは、何をお薦めするかほとんど考えていなかった。棚を前にしたら、だいたいどうにかなる。今日もそうだった。
あれこれ話しながら、端のほうから順繰りに見ていった。
お題:「好きそうな本」/ 一冊だけ買って帰る / 文庫 / シリーズでも一冊完結でもいい / ジャンル・厚みの指定なし
好きそうな本を五冊くらい(気がついたら上下巻がするっと混ざっていた)紹介した。
何度も本を薦めたことがある友人なので、何となく……ではなく、こういうの好きだよね、というポイントがわかっている。そういう人に薦めるときは、いつも「ぜったい好きそうな本」に、「これは選ばないかもしれないな」という本と、「これを選んでくれたら面白いな」という本を混ぜることにしている。
文庫コーナーの端までたどりついて、はてさてどれを選ぶのかな〜とわくわくしながら来た道を戻る友人の背中を追う。ときどき棚の間に入って本を抜いていくので、もう一度比べてみるのかなと「その中のどれか?」と訊ねると、「こうなることは分りきっていました。いつもこうなる」と、内三冊がお買い上げされることになっていた。
本屋を出て、「はやく読みたいから帰るね」「そうして」とすぐに別れた。
誰かに本をお薦めすると、自分のなかの「好き」がうっすらと広がっていくような気がするのがいい。あわよくば(でなくとも)気に入ってほしいし、楽しんでほしい。それに、まずはただ読んでみてほしいのだった。
読んだら教えてもらえるので、ひそかに楽しみにしている。いい日だった。
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2018.6.12 お薦めして購入された本:3冊
ドット・ハチソン『蝶のいた庭 』(創元推理文庫)
*1:お互いに、相手はどうなんだろうとぼんやりと考えて、まあ問うまででもないかと終わっていた