この本の隣にあの本を置く

本と日々にまつわることをすきなように、すきなだけ

手帳と私についてのささやかな記録

f:id:nanakikae:20190227025921j:plainずっと、「手帳」という存在にときめいてきた。
まず、本と似ているところがいい。物としてかたちが整っていて眺めているだけで素敵に思えた。そして何より、使ううちに「私だけのもの」へと変化していくのが好きだった。

手帳のことはずっと好きだったし、それなりに使ってきてはいた。でも、一年間まるっと通して「日常的に」使えたことは、たぶんない。

だけど、今年はゆるやかに手帳が続けられている。手帳を生活の中に取り入れることは、2019年の目標のひとつだということもあり、とても嬉しい。

nanakikae.hatenadiary.jp

手帳という存在が今までよりずっと近しく馴染んでくると、体感だけではなく、紙の上にも「私の過ごした時間」がゆるやかに流れていることに気づいた。それは私にとって、とても革命的な出来事だった。
ときどき何も書かない日だってあるけれど、手帳があることで、時間はただただ過ぎゆくばかりのものではなくなった。こんなふうに、記録を重ねていくことを楽しいと思うようになったんだなあ……と感慨深く思いもした。

手帳、楽しい。手帳が楽しいって、すごく新鮮で嬉しい! 
そう思うようになって、だいたい二ヶ月が経つ。

以下は、ゆっくりと私の生活に馴染んできた手帳についてまとめた記録です。

鑑賞する2019年

2018年の目標:毎月一本映画を観ること の達成が難しかったので、2019年も引き続き映画を観たいなと思っています。できたら美術館に行くことも増やしたいなと欲張っているので、2019年の鑑賞キャンペーンと称していたりします(私の中だけだけど!)。

以下、ねたばれへの配慮は基本的にあってないようなものです。

 

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今から(再び)読むコバルト文庫おすすめ5作

先日コバルト文庫についての記事が回ってきて、けっこう話題になっていた。
色々思うところがあったりしたので、「今からコバルト文庫を(再び)読んでみたいかも……」という人におすすめしたい作品を選んでみました。

anond.hatelabo.jp

 

◎今から(再び)読むコバルト文庫おすすめ5作

・比較的紙で手に入りやすいような気がする本*1
・手に取りやすい1冊完結~数冊完結もの
・コバルト読者だった方~初めての方によさそうなもの

……という基準で選んでいます! あとは趣味です。
そして、次に読んだらいいかも? なおすすめがついています。

 

1.コバルト文庫はじめにおすすめの鉄板小説集 - 氷室冴子月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ!』

月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ! (コバルト文庫)

月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ! (コバルト文庫)

 

「ぼんやりしている」貴志子には、親子ほどに年の違う恋人・有実がいる。有実から娘を預かってほしいと頼まれた貴志子は、初めて会った自分と然程年の違わない美しい少女・晃子に会い、その頬に瘡蓋の痕が残っていることを知る。(月の輝く夜に

権大納言家に生まれた、まるで双子のようにそっくりな異母兄弟・綺羅君と綺羅姫。文武に秀でた綺羅君は、実は男の子のように活発な姫君で、病弱で大人しい綺羅姫はその弟君だった。成人の儀で本来の性別に戻るはずが、姫は綺羅君として元服・出仕をしてしまい……。(ざ・ちぇんじ!)

恋することの業や生きることへの苦しみが、月の光で照らされるように静かにまなざされる『月の輝く夜に*2と、『とりかへばや物語』を下敷きに軽快な氷室冴子節を楽しく効かせた男女入れ替わりもの『ざ・ちぇんじ!』。同じ平安ものでも大分テンションに差がありますが、それぞれが持つ魅力に引きこまれて、どんどん先へと読み進めてしまうはず。

みんな知ってるだろう名作『なんて素敵にジャパネスク!』と、その著者である氷室冴子の名は、コバルト文庫と聞いたら必ずでてくるもの。この本は未収録短編もぎゅっと収録したファンアイテム的(かつ分厚い)一冊なので*3、いきなりこれだと「読んでない本の番外編が入ってる」状態です。そのため、初めてのコバルト文庫にはどうかなとも思うのですが、それ以上に、ジャパネスクと同じく平安ものの表題作2つがほんとうに面白いので推したい。
そして個人的な思い出ですが、私が高校生の頃にはすでに、古典の先生としか氷室作品の話で盛り上がれなかったので*4、氷室作品を通っていない世代って、氷室冴子を読んできたコバルト読者が思っている以上に多いんじゃないかと感じていて、やっぱり入り口として挙げておきたいなと思ったのでした。

>>>次に読みたい本

氷室冴子の平安ものをもっと読みたい!→『なんて素敵にジャパネスク!』

『ざ・ちぇんじ!』最高に面白かったな~! と思ったら、安心してジャパネスクにGoしてください。復刻版は2巻まででストップしているので、電子書籍でどうぞ。

氷室冴子を久しぶりに読んだ。やっぱり好き……→『文藝別冊 氷室冴子

2018年に、河出書房から氷室冴子本が出ました。1992年のインタビューや対談・イラストレーターの方の寄稿・作家のエッセイなどが収録されています。氷室冴子という作家の輪郭と軌跡をたどるのに、おすすめの一冊です。

 

2.偽装結婚相手は自分のファンだった! - 仲村つばき『ひみつの小説家の偽装結婚

ひみつの小説家の偽装結婚 恋の始まりは遺言状!? (コバルト文庫)
 

名目上の結婚をしていた覆面小説家のセシリアは、夫である騎士のヒースを亡くし、遺言によってヒースの部下・クラウスと再婚することに。作家生命の危機を脱するため、小説大賞を目指す中、セシリアはクラウスが自分の小説のファンだと知る。

主人公が小説家……という作品の中でも、セシリアの作風がロマンスや少女小説ではなく、硬派で地味めな感じ(ただし根強いファンはいる)というのがちょっと新鮮。小説家仲間のフレデリカの作風を見て悩んだりあがいたりしながら自分の作品と向き合い、偽装結婚相手であるクラウスともぎこちなく距離を縮めていくお話。

セシリアが自分のファンであるクラウスから、正体は隠したまま自作への感想を聞かされるたびに、「尊い」と言われたり涙がにじむくらい嬉しさを感じたりする場面がとてもいい。あと、「女性が本を出すには性別を偽り覆面作家にならないといけない」この世界において、セシリアとフレデリカは自分の足でしっかり立とうとしている様子が魅力的ですきです。

>>>次に読みたい本:スピンオフ『ひみつの小説家と葡萄酒の貴公子』

 電子オリジナルで、セシリアの覆面小説家仲間&親友のフレデリカが主人公のスピンオフが出ています*5。有名なお菓子会社の令嬢でもあるフレデリカ(作風はキャラクターの立ったエンタメ系)と、彼女が以前登場人物のモデルに(勝手に)しちゃったワイン商の令息・アルテのお話。後日談も2編収録されてる嬉しい一冊。

 

3.ひそやかな両片想い×宮廷陰謀劇 - 久賀理世『招かれざる小夜啼鳥は死を呼ぶ花嫁』

穏やかな幽閉生活を送っていた先王の遺児・エレアノールは、第二王子の妃候補として、急遽王宮に呼び寄せられることに。監査役として訪れる第二王子ダリウスに淡い想いを抱いていたエレアノールだが、十年ぶりに帰還した宮廷で事件が起こる。

望まれない王女と望まぬまま王子になったふたりの交感が、静かに描かれています。じれじれ……とまではいかないものの、周りにはばればれな淡い「両片想い」と宮廷で起こる事件との両方が楽しめます。物語が進むにつれて、諦めることになれていたエレアノールにしなやかな強さがあることが浮かび上がってくるのがとてもすき。「昔のコバルト文庫が好きだった」という方にも、「あんまりラブばっかりだと手に取りにくい」という方にもおすすめしたい、今のコバルト文庫です。

>>>次に読みたい本:白川紺子『後宮の烏』(オレンジ文庫

後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)

後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)

 

細かなディテールと物語の中の歴史がていねいに描かれている中華ファンタジー。はじめはほんのりとぼかされている「世界のしくみ」が物語において影のように濃くなったり淡くなったりしながら繙かれていくので、ファンタジー好きはぜひ。古き良き少女小説の系譜に連なる、誠実な物語だと思います。2019年2月現在、2巻まで発売中。

 

4.恋をしたならカーニバル! - 野梨原花南『還るマルドールの月』

爵位と引き替えに元敵国の大富豪と結婚することになった没落貴族の娘・ダリアード。向かった先で待っていたのは、眼光鋭い警部だった。堅物な彼に激しく「運命」を感じてしまったダリアードの人生は一転、カーニバルみたいに色づきはじめて……。

代表作・ちょーシーズ*6で知られる著者による1冊完結のキュートなラブコメ。軽やかで楽しい、ハッピーな話が読みたいならこれ。恋なんて「すすけたガラスの向こうに三日月が見える」程度のものだと思っていたダリアードが恋に落ち、国宝の宝石をねらう怪盗とたくらみを追う物語。ぜひ読んで、野梨原作品の魔法にかかってほしい。人生は楽しくて恋は素敵で、いつだってカーニバルなんだ! と元気になるはず。

>>>次に読みたい本:マルスシティシリーズ

アメリ禁酒法時代を思わせる設定の、火星にあるマルスシティ。そこで個性豊かなキャラクターたちが軽快に、時にどたばた駆け廻るお話。全2巻なので読みやすいし、さやかもチュチェもイリヤも最高に生き生きしてて格好よくて人間くさくて痛快で、とっても面白いです。憂鬱な夜に読むとちょっと気持ちが楽になるし、世界がきらきらして見える。電子で買えます。

 

5.シンデレラの娘、絶賛放蕩生活満喫中♡ - せひらあやみ『ガラスの靴はいりません!』

ガラスの靴はいりません!: シンデレラの娘と白・黒王子 (コバルト文庫)

ガラスの靴はいりません!: シンデレラの娘と白・黒王子 (コバルト文庫)

 

千年王国では、二十歳を過ぎれば嫁き遅れといわれる中、かつては美しい少女だったシンデレラの娘・クリスティアナは今やぽっちゃりとした三十路となり、酒・肉・ギャンブルの放蕩生活を謳歌していた。ところがある日、美しき双子の王子から求婚されてしまい……全力でお断り&逃亡することに。

冒頭数ページの掴みが強烈すぎるラブコメ(試し読みはこちら)。いままで挙げた作品の中では、わりとあらあらな場面があるほうだけど、からっとすぱっと勢いのよすぎる語りと双子の王子を交互に見せる構成のおかげで、どきどきしつつさらっと読めるかなと思います。一見とっても規格外だけど、「私をみてほしい」という普遍的な恋の願いはとても少女小説的だし、そこまでやっちゃう? という勢いのよさはありつつ、双子の王子による求婚のねらいやクリスティアナの使命がコメディにほどよいスパイスを加えていて、こういう少女小説もいいなと思った一冊です。

ネット(主にTwitter)と相性が良さそうだし、話題になって「SNSで話題」の文字が躍る帯がついているのが見える気がするのにまだなってない……?? ちょうど、クリスティアナとクセのある侍女ステファニーちゃん *7による連作短編が電子オリジナルで出るので(2019年2月22日発売)、この機会にどうぞ。

>>>次に読みたい本:松田志乃ぶ『わたしの嫌いなお兄様』

わたしの嫌いなお兄様 (コバルト文庫)

わたしの嫌いなお兄様 (コバルト文庫)

 

おてんば女学生の有栖とその従兄にして「素人探偵気取り」の要が消えた花嫁人形の謎、人気乙女小説家の謎、誘拐事件の謎を解く大正浪漫ミステリー。テンポよく進む連作短編です。大正らしいモチーフが散りばめられたときめく描写とついにやにやしちゃう恋模様とで、たいへんキュートでキャッチーな一冊。

 

◎そのほかについてざっくり

・読みたいけど近くの書店になかった! 

がーん! それは悲しい。紙の本がいいなら、honto丸善ジュンク堂)・紀伊國屋書店などで検索すると、全国にある店舗の在庫を調べて、お取り寄せできたりします。※詳細は各サイトでご確認ください。

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これはhontoで還るマルドールの月を調べた画面のキャプチャ。

私がよく利用するのはhontoで、取り寄せてもらったり、「どうしても今日これを買わないとかなしい! 調べたら在庫△! 私が行くまでに誰かに奪われないか心配!」*8というときに取り置きサービスを利用しています。べんり。

 

電子書籍ってハードル高い?

紙の本もだいすきだし電子書籍もときどき買っていると言うと、周囲に本読みが少ないので、結構いまだにびっくりされる。そういうときに、やっぱりまだ電子書籍は馴染みがないんだなと感じるのですが、アプリをダウンロードすれば勿論スマホで読めるし、PCでも読めるしアプリとデータ同期されていたりする(例:PCで途中まで読んだページからアプリで読める)し、専用リーダーがなくても読めます。

あんまり知られていないのかもしれないけれど、以前よりずっと、電子書籍は気軽に始められるものになっています。そして、紙の本の在庫がなくても著者の方に利益が発生するのでハッピーです。

コバルト読んでたな~とか、実家にある……とか、久々に読み返したいなとか。そういう思い出の作品は、けっこう電子化していたりします。電子書籍は続きが気になって書店が開くまで眠れないよ~!(じたばた)とベッドの上を転がらなくても、ぽちっと買えるところが何より素敵。

↓は集英社電子書籍が購入できる電子書店一覧です。

ebooks.shueisha.co.jp

 ・あの本が入ってないぞ!! という方へ

お気持ち、よくわかります。おすすめの本をコメントで書いていただけると、私が読みます。そして、これを書いている間に出来ていたこちら↓がおすすめです。

togetter.com

*1:※2019.2現在、書店によっては在庫があるかもしれない? というものを含む。中にはちょっと厳しいかもしれないというものもあります……。

*2:そしてあの最後が最高にすき。漫画版もとてもおすすめ。

*3:2019.2現在、電子化されていない『少女小説家は死なない!』の番外編も入っている

*4:「みんな知らないかな~ジャパネスク!」「だいすきです!」「行き触れだ~!」「ぶっちぎりの仲よ!」という会話を授業中に繰り広げ、クラスメイトをおいてきぼりにした。後で「先生と盛り上がってた本、図書室にある?」と聞かれたのでおすすめしておいた。

*5:少女小説は結構「主人公たちの周りの人々についてもっと読みたいよ~という欲求に応えてくれるので、番外編とかスピンオフがあったりする

*6:電子書籍にあるから今から読める&電子オリジナルで新作も出てます

*7:この二人の関係性がいい

*8:だいたい杞憂に終わるのだけども、ときどき奪われている。

2019年にやりたいこと

実はいままでの人生において、あんまり抱負や目標を立てて生きてこなかった(立てても忘れていたという気がする)。我ながらびっくりなぼんやりさを軌道修正したくもあり、2019年はもう少しきちんと立ててみようかな、と思ったのだった。あと、目標を立てている人が年末に振り返っているのを見ていると楽しそうだな、と感じたのも大きい。

2018年は、毎月一本映画を観ることをふわっと目標にしていました。

nanakikae.hatenadiary.jp結果は、5本/12ヶ月。ほかに、舞台2作(DVD・観劇)、ミュージカル2作(観劇)とAmazon primeでアニメ数本は観たんだけど、達成がかなり難しかった。でも以前に比べたらずっと、ほんとうに随分と「いつかに見逃したもの」を観られるようになったなあと感じた一年でもあった。少女革命ウテナも、行動範囲内にレンタルしにいくお店があまりない私のようなタイプ*1には、primeがなければもっとずっと観るのが遅くなったんだろうなという気がする。

 

2019年にやりたいことは、ひとまず多めに立ててみることにした。

 ・読書記録をつける

年末からお試しでやっている読書メーターがわりと続けられそうなので、このまま継続できたらいいな~と思って。

七木香枝 - 読書メーター

・映画を月に1本観る

いま観たい気持ちが決まっているのは『女王陛下のお気に入り』と『ユーリ!!! on ICE 劇場版』です。

・手帳を生活に加えてみる

いままで、手帳は大好きだけど、つい頭の中で予定を管理しがちだった。あまりにめまぐるしかったために2018年後半は手帳がないとつらかったので、2019年はもう少し身近なものにできるのではという気がしている。

item.rakuten.co.jpいろいろ見て、いいなと思ったこちらを買った。ちらほらみかけるバレッド・ジャーナル式の中面で、デザインのシンプル加減がちょうどよかったので決めた。このメーカー(旧:ORANGE AIRLINES、現:MATOKA)の手帳はずっと好き。表紙は少し加工しようかなあ。

二週間ほど自分だけのテーマを決めて過ごしてみたら、その不思議な心地が面白かったので、手帳と併せてやってもいいのかなという気がしている。

・部屋を育てる

右の写真のように、今日のお酒の撮影場所としてはよいのだけど、引っ越してから壁に何にも貼らない/つけないまま年を越してしまったので、もっと壁面に何かを足すのと全体的な居心地の良さを上げたい。

https://twitter.com/nanakikae/status/1061611413326589952https://twitter.com/nanakikae/status/1061611413326589952

https://twitter.com/nanakikae/status/1061611413326589952

https://twitter.com/nanakikae/status/1061611413326589952・とにかく文章を書く

書きます。小説も書きたい。

・環境を変える

 これはほんとうに、ちゃんと取り組まねばならないなと思っている。

 

……とはいえ、ゆるっとふわっとやりたいな~と楽しむことにします!

あとは本をたくさん読むぞ!

 

*1:ポストインする便利なやつがあるのは知っています

2018年に買ってよかったいくつかのもの

本当にわるいくせなのだけど、私が恋に落ちるものは大概地元にないものだ。一番好きなチョコレートメゾンも、愛用している香水も。ぽちっとしてしまえば数日後には手元に届くものではあるけれど。それだけではないのだ、好きなものを身近に置くために選ぶということは。

今までずっと、ぱぱっと即断即決できるもののほうが多かった中で、今年は悩んだり、悩むうちに悩み疲れるようなことのほうが上回ったような気がする。引っ越しで断捨離しすぎて夏も秋も今現在も服があまりないというのに、買いたい服を選びきれないでいるように。

たぶん、どうしようもなく好きになってしまうものは、大概外に、身近ではないところに求めがちなのだ。そして、いままですぐに「買います」と言ってしまえるほうだと思っていたけれど、案外私って買い物にすごーく時間がかかる一面を持っているのかも……。

……というのが、2018年の買い物にまつわる気づきだった。

以下は、そんな今年の間、新しくしたり買ってよかったと思うもののまとめです。よくよく思い返そうとしてみたけど、今年の前半は引っ越しのために買い控えていたので、だいたい下半期のお買い物になります。

 

部屋の中のもの

・新調して嬉しかったもの - 本棚一体型の机

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www.dinos.co.jpいままで、幼い頃に贈られた机をずっと使っていた。天然木で可愛らしい色をした机は可愛くてちょっと融通が利かなくて、すぐに天板に傷がついてかなしかったりしたけど、ずっと傍にあった。引き出しのひとつに鏡がついていて、娘のために考えて選ばれたものだとわかるものだった。だから愛着はあったけれど、引っ越しを機にさよならした。薄情かなという気持ちがぬぐいきれないままだったけれど、新しい机のことがすぐに好きになった。ずっと、広い机が欲しかったので。

中央をPCスペース、左を作業もしくは資料スペース、右をフリースペースとして使うことにしている。illustratorをいじりながら紙をカットしたり、大きな資料を置いて文章を打ったりできるようになった。(自分が本を積み過ぎたりしなければ)すこぶる快適! 部屋にある本棚の数は減ってしまったけど机の上下に本棚があるし、とんかちして棚も増やした。家にいるときの大半は、この机に向かって過ごしている。

つまり、以下に続く写真もだいたいこの机の上で撮っている(大好きな本ばかり並んでいる様子は最高に映えるのでしかたがない)。

 

・Maduで買った晩酌のグラス

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 今年は、晩酌なるものをはじめてみた。個人的には大冒険だったこの新しい試みにふさわしいグラスとして、前から目をつけていた写真のものを買った。所用で買ったビアグラスになみなみと注ぐのはやめ、この小さなグラスで本を読みながらお酒を飲むのは楽しい。何用のグラスなのか分からなかったので*1迷ったものの、見た目が可憐なのでいい。日本酒もワインも、だいたいこれですいすい飲んでいる。なんだか、ずいぶん大人になった気持ちがした。

夏の飲酒についての覚え書きはこちら。

nanakikae.hatenadiary.jp

natural kitchen 革製コースター(4枚組)

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なかなかしっくりくるコースターがなくて、レーザーカットか何かで作ろうかなと思っていた頃に見つけたもの。素朴過ぎずつるんとしすぎず、程よくアクセントがある。時間のあるときに、箔押しか空押しで模様を入れようと思っている。

 

無印良品 マイクロファイバーミニハンディモップ

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www.muji.netお気に入りの机はシックなダークブラウンなので、埃が目立つ。いままで色の濃い机を使っていなかったので、最初はちょっと困った。安いものでいいんだけど、むきだしのはいやだし、ケースがあるなら見た目も……と恒例の悩みタイムを経て、無印のシンプルなこれを選んだ。ウィリアム・モリスのマスキングシート(mt CASA sheet ウィリアムモリス大1枚 Daisy)を貼ったお蔭で、いつも気分良く埃を払っている。モリスのDaisy、すき。

 

・読書灯 - IKEA ラーナルプ ウォール/クリップ式スポットライト

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www.ikea.com念願だった読書灯をヘッドボードにとりつけた。読書灯は、友達の家に泊まってはじめて気づいた「憧れ」の品だった。IKEAのラーナルプにたどり着くまで、ものすごく比較検討した。明るさは調整できなくてもいいからある程度向きが変えられて、クランプもしくはクリップ式で、何よりデザインが好みなものを探し回った。IKEAのHPとにらめっこして数ヶ月が経った頃、IKEAに連れて行ってもらえた*2ので、ようやく購入。読書灯が欲しいなと思ってから、一年くらい経っていた。ねばりすぎである。ねばった分、とても嬉しい。寝る前の読書がはかどる。

 

身支度にまつわるもの

夏の香りGuerlain アクア アレゴリア パッシフローラ

isetan.mistore.jp去年は見つけられなかった夏の香りを、今年はようやく探し当てた。いつもつけているのは少し重ための香りなので、暑い季節に纏うと少しと言わず、だいぶ気怠く物憂い感じがするので、ずっと夏の間の香りを探していた。爽やかになりすぎず甘くなりすぎず……でもちょっと可愛げな、思い出になる前の素敵な夏を閉じ込めたような香り。

 

・冬の香り - ジョー マローン ロンドン オレンジ ビター

www.jomalone.jp何度かジョー マローンの限定品が気になって、でも上京のタイミングと合わなくて……ということを繰り返していた*3。クリスマス限定のこちらはちょっと試すだけ……と肌につけてもらってすぐに、冬の間はこれを纏っていたいなと思って購入を決めた。奥行きのあるオレンジが、しばらくするとゆったりビターに微睡んでいく。予想以上に、好みの香りだった。

このときにいただいたボディクレームの試供品が、眠りに落ちる前も目覚めた後も、まるでお姫様になったかのような気持ちにさせてくれたので、欲しくなってしまっている。つけ心地も保湿も満足したけれど、香りを纏って目覚めるための品として使いたいなと思ってしまった。生きるためには、自分のための心地よい贅沢が必要なのです……。

 

・SHISEIDO オーラデュウ プリズム(Cosmic)

・SHISEIDO エッセンシャリスト アイパレット(Jizoh Street Reds)

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資生堂からこの新しいラインが出るというリリースが出たとき、一つひとつにつけられた名前やパッケージのデザインにときめいたので、カウンターへ行ってみた。何にも知らなかったのだけど、たまたま資生堂のメイクアップアーティストの方が来ていた日だったようで、カウンターで見るのもそこそこに特別ブースを案内されて、気づいたらメイクをしていただくことになっていた。

粧うことについてだいぶポジティブに向き合えるようにはなったものの、何が似合うのかさっぱりわからない……と言ったところ、お薦めいただいたのが オーラデュウ プリズム | SHISEIDO | 資生堂。指でくるくる取ってのせると繊細なきらめきがそっと宿る。肌・目もと・口もとに使えるらしい。今のところはアイシャドウとして使っている。

エッセンシャリスト アイパレット | SHISEIDO | 資生堂 は、パッケージや色の組み合わせ、東京の通りの名前がついているというところに惹かれたものの、好きな色だとHanatsubaki Street Nightlife……? と思っていた。ちょっと意外なことに、お薦めいただいたのはJizoh Street Redsだった。左二色が上品なラメ入りで、右二色がさらふわのマット。綺麗に発色するのにさりげなくも使えそうで、いいかも……と思ったので買ってみた。このアイパレットは、見つめているだけでも気持ちが華やぐ。

(そして、いざしてみると、コスメの写真を撮るのがとても難しいことがよく分かった)

 

・タングルティーザー ザ・オリジナル シャンパンロゼ

TANGLE TEEZER タングルティーザー ザ・オリジナル シャンパンロゼ [国内正規品]

TANGLE TEEZER タングルティーザー ザ・オリジナル シャンパンロゼ [国内正規品]

 

数ヶ月の間、じわじわ気になっていたタングルティーザーを買ってみた。からまっていた髪がするするほぐれて気持ちいい。あまりにストレスがないのでびっくりした。おかげで、髪をとくのが楽しみになった。お風呂用のも出ているけれど、これも問題なく使える。水洗いできる上に、といた後、お掃除がしやすいのも気に入っている。持ち運び用の、小さくて蓋付きのものを買おうか悩み中。

 

・フルリフアリ くるんと前髪カーラー

フルリフアリ くるんと前髪カーラー

フルリフアリ くるんと前髪カーラー

 

クリップにカーラーがついたタイプの、最高に便利で使える品。ほんとうに買ってよかった。大変お世話になっています。前髪をコテで巻くのが苦手なのと、ここという美容院を決めかねていることもあって、そろそろ行かなくちゃとなってから実際に行くまでに時間がかかってしまう……ので……前髪が長すぎるときは毎日使っている。髪をといてこれで挟んで、くるんと巻き上げるだけだから、とっても簡単。あれこれしたあとに外せば、いいかんじに前髪が仕上がっている。

 

・Bifesta うる落ち水クレンジング アイメイクアップリムーバー

Bifesta (ビフェスタ) うる落ち水クレンジング アイメイクアップリムーバー 145mL

Bifesta (ビフェスタ) うる落ち水クレンジング アイメイクアップリムーバー 145mL

 

 どこかで「アイメイクは専用リムーバーを使ったほうが絶対にいい」と読んで、そうなのかな~と思いながらしばらく経ち、気まぐれに買ってみたらものすごくよかった。するんと落ちる。革命的だった。もっと早く使いだせばよかった。洗い残しが気になるのがストレスだったので、これを機に、メイク落としをふき取りにシフト。同シリーズの ビフェスタ クレンジングローション ブライトアップ 300mlL を使っている。気持ち、肌が落ち着いてきた気がする。 

 

外に出掛けるためのもの

ポメラがすっぽり入る鞄

今年に入ってしばらくするまで、鞄をふたつしか持っていなかった。しかも色味が平たく言えば同じ赤であったので、服によっては喧嘩していた。そんなこんなで探しにいき、ほんの少しクラシカルな佇まいに一目惚れして、でもなあと一回やめて。やっぱり忘れられなかったので、買いに出掛けた鞄だった。この鞄の素晴らしいところは、誂えたようにポメラDM100がすんなりおさまること! ……とは言っても、ごく小さい横長のかたちのショルダーバッグだからあまり物は入らない。お茶をしたり本屋でぼんやりしているときに、「その鞄いいですね」と褒めていただくことも多くて嬉しい。何より、ポメラも四六判のハードカバーも入るのに、大きくない! 幸せ。毎日連れ回している。

キングジム デジタルメモ ポメラ DM100 ブラック

キングジム デジタルメモ ポメラ DM100 ブラック

 

 ポメラDM100の大きさは263mm×118.5mmほどで、A4が入る大きさを除いてしまうと*4なかなか選び難いのだった。

 

・HINT MINT クラシックラベル ザクロ&アサイ

ヒントミント クラシックラベル ザクロ&アサイ 23g

ヒントミント クラシックラベル ザクロ&アサイ 23g

 

ポメラがぴったり入る鞄の中に、文庫本と一緒にすべり込ませているおやつ。何かでみて気になっていたけど、身近なところには……と思っていたら、ふつうにPLAZAに並んでいた。ミントはものすごく得意ではないんだけれど、これはミントっぽさが柔らかめで、ザクロ&アサイが最高に好みの味だったので大好きになってしまった。楽しかった本を読み終えたときのようなちょっとくせになる甘酸っぱさで、すっかりお気に入り。いままであんまりタブレットを持ち歩く習慣がなかったのだけど、薄くて手頃な大きさだし、おいしい上に何より缶に浪漫がある。HINT MINTのケースをすべらせて気分転換するのは、ちょっと特別で素敵な感じがする。ヒントミント クラシックラベル チョコレートミント 23g もすき。

 

SONY ウォークマン Aシリーズ NW-A50(トワイライトレッド

www.sony.jp出掛けるときは、必ずウォークマンを持っていく。気をつけていないと耳から入る音を頭の中で文字化しがちなタイプなので*5、自分でその度合いを調節しにくいような音が傍にあるときは、音楽を聴くことにしている。

ずっと使っていたウォークマンが充電しても電池が持たなくなってきて、まだ使えるけれど……という状態になって長かった。のを、思い切って新調した。そうしたらすごく快適で、当たり前なんだけど数日充電しなくても大丈夫になった。そして音がよい。ものすごーくこだわりがあるほうではないけれど、音を楽しむのが格段に気持ちよくなった。快適って大事だ。あとはノイズキャンセリング機能が格段に進化していて、目覚ましい変わりぶりだった。外音が入ってくる度合いを細かく調節できる。曲を聴きたいのはもちろんだけど、外と自分の距離を設けたいときも音楽に頼っている身としては、とてもよかった。

 

心地よい眠りに落ちるためのもの

MARKS&WEB インドアハーバルスプレー グレープフルーツ / ユーカリ

www.marksandweb.com引っ越して間もない頃、知らない家のにおいがして落ち着かず、ただでさえあまりよくない寝付きがわるくなる一方だった。なんとかならないものかと考えて買ったこのルームスプレーは、ユーカリが合わせてあるので、グレープフルーツの爽やかさが立ちすぎていなくて落ち着いているのがいい。さいきんはすっかり家に馴染んだので、気分転換したいときや眠る前にシュッとひと吹きしている。来年は、素敵な香りのキャンドルを見つけたい。

 

 ・あずきのチカラ フェイス蒸し

 ここ数年、 あずきのチカラ 首肩用 をめちゃくちゃ愛用している。新商品のフェイスタイプは、どうなんだ……? と思っていたのだけど、いざ使ってみたらおやすみ三分グッズだった。寝つきのわるいこの私が、三分くらいで眠れる!! 感動した。あずきのチカラ、推せる。

 

近藤聡乃『ニューヨークで考え中』(亜紀書房

ニューヨークで考え中

ニューヨークで考え中

 
ニューヨークで考え中(2)

ニューヨークで考え中(2)

 

 A子さんの恋人 1巻 (ビームコミックス) が大好きで、NY在住の著者・近藤聡乃さんのエッセイもWEBでちらほら読んでいた。A子さんもそうなのだけど、近藤聡乃さんが表す「誰しもが持っていて、でもだいたいの人があんまり冷静にはさらけ出せないようなちょっとしたひねた見方だったり意地の悪さのようなもの」がすごくすきだ。……というと語弊がありそうなのだけども、そうしたものたちがおかしみだったり魅力になって紙の上に綴られているので、読んだらきっと、すきになってしまう。

最初のほうは読めていなかったし、買おうかな。と何とはなしに手に取って以来、何度も読んでいる。主にベッドの上で。クッションを重ねて背中にあてて、ぼんやり読んでから眠ると、なんだかほっとするのだった。見開き一ページのエッセイ漫画というのも読みやすい理由なのだけど、このエッセイは情報量がとても多い。多いながらも情報が丁寧に整理されていて、でもそうすることで失われてしまいそうな余白も残っていて。むしろその面白さが研ぎ澄まされているのが、ちゃんとわかる。見開き一ページの積み重なりが面白くて心地がいいので、なんだか気持ちよくなってしまうのかもしれない。

秋頃は心がすり切れそうになっていたのを、この二冊を読むことで気持ちを調えていた。眠くなっても眠くならなくても、ほどよい距離感で寄り添ってくれる本だった。

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あとこの本、製本がコデックス装(バックレス製本)なのが、内容にぴったりあっていて、最高に心地が良い。このふわっと180度開く製本であることが「見開き一ページ」の魅力を支えていると思う。(装幀:佐々木暁・印刷:株式会社トライ)

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コデックス装は、丁合後に抜けがないか判別しやすくするために付けられている丁標の並び(↑の黒い部分のことです)が見られるのもすきなポイント。

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2019年はもっとお買い物と生活を楽しむぞ! というのが目標です。

来年も、楽しみながらQOLを上げたい。

 

*1:ある日行くと、値札に吟醸グラスと書いてあった気がする。買ったときには書いてなかったのだった。

*2:広島にはIKEAがない

*3:地元に取り扱い店がない

*4:大きすぎる鞄は人にぶつかりやすいので苦手

*5:電話をしながら画面の文字を追っていて、さらに左右で別々に会話が展開されていると、頭の中が混戦しそうになる。うまく働くときもある。

今年の夏を忘れる前に

平成最後の夏は、ずっとすももと共にあった。

すももがなかったら、夏なんてもっと嫌いだった。すももがあるから、かろうじて嫌いきれないでいる。概念としての夏はすきです。記憶やイメージとしての夏は、禍々しいものだとしても素敵に思える。

今年の夏は、ひどく疲れた季節だった。色んなニュースに悲しくなったし、いま身を置いている環境があんまりよくないなあ、と思いすぎてしまうことばかりだった。びっくりするくらい、本を手にしても読めないことが続いた。自分で書くのも何だけど、(この私が!)と自意識が叫んだくらい読めなかった。本を開いても、あれだけやすやすとできていた本の中へ入り込むことが難しく、時間がかかるもののように思われて、躊躇ってしまうことが続いた。

くったりと寝入ってしまって目覚めた真夜中に、よくすももを食べた。そんな夜にはいつも、明かりもつけないで、磨くようにすももを水で洗った。白湯で喉を潤したあと、夜中らしい静かな部屋ですももを食べているときだけ、なんだか元気がないけれど、元気がないなりに生きているのかもしれないと思えた。

夏は、そのくらい存在が薄まってしまう。毎日ひとつずつ、ときにはいくつもすももを食べて、無くなったらまた買い足して。夏の間は、すももで生きていこうと思っていた。毎年のことです。

とはいえ、夏が来る前にはじめた新しいことを、もっと楽しめた季節でもあった。何かというと、家でお酒を飲む習慣を作ってみたのだった。

何もかもが淡い日や、ゆううつなことがあった日に、ほんの少ししか注げないグラスに満たしたお酒をゆっくりと飲みながら、本を読むようになった。そうすると、なんだかほんの少し以上に、何か素敵な気持ちがすることを知った。晩酌! と嬉しくなってつい言ってしまうけど、だいたいごはんの後にひとりで部屋で楽しんでいる。

晩酌をはじめてから、ワインとの距離がぐっと近くなった。夏は、ロゼをよく飲んだ。果物と合うせいかもしれない。ワインについてはちっとも詳しくないままなので、選ぶときはエチケットのデザインで決めている。

ときどき、何にも予定がない(ということにした)日には、いつも閉めきっているカーテンを開けて、窓も開けて、陽射しにきらきら透けるシードルの瓶やグラスのマチエールを見ながら乾杯した。そういう日は、シンプルに御機嫌になれる。昼日中に飲む泡やシードルは、とても爽やかな心地がしてかろやかで、すっと喉を通る。

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ある日の本と晩酌の記録。この日はアンナ・カヴァン『氷』(ちくま文庫

ワインと日本酒、あとはすもも、を楽しむうちに、じりじりと夏が過ぎた。8月も半ばになるとすこしだけ息をつけるようになって、本との距離が戻って来た。ひさしぶりに、日に三、四冊ほど本を読んだ日の嬉しさが、まだ抜けない。その日は夜更かししてもう一冊と欲張りだした途中で、寝落ちしたりした。

そうだそうだ。ここ数年ずっと懸案だった、夏の間の香水が見つかったのも嬉しかった。そう思うと、今年の夏だってちょっとわるくなかったのかも、と思えてくる。気持ちがやんわり沈み込もうとするときは、いつだって香りを思い出した。

ようやく見つけた夏の香りは、何もかも難しくて眠ったときや寝苦しくて目が覚めたときも、ふんわりと傍にあった。もうすこし、秋が深くなるまは身に纏うと決めている。

*  *  *

2018年の8月31日には、夜になってようやく、その日食事らしい食事をとっていなかったことを思い出した。冷蔵庫にちょっと前に買ったいちじくがあったので、いつもサラダをよそうガラスの器を出した。花のかたちをした器(というものがすきで、いつも花のかたちのお皿を選びがちである)を上から見ていると、湯むきしようかな……と思っていたことも忘れて、ひんやりした実を手のひらで転がすように洗った。ごく柔らかい実は、指でそっと触れるだけでもろもろと割れる。こういうときに、しどけなく、だとか、そういったことばで表されるようなのが似合いがちな果物よね、あなた。などと思いながら、スプーンですくったクリームチーズをころころと入れておしまい。

いつも晩酌のお供にしている可憐なグラス一杯ぶんだけ残っていたロゼを注いで、本を読みながらいちじくを食べた。

今年はいつになくすももを食べた夏だったけど、いちじくを食べたら、夏の終わりが見えてきた気がした。

いつにも増して、今夏は“すももとお酒とほんの少し本”、だった。いつもこれが最後だとは思っていないうちに、すももの季節は終わってしまう。まだ並んでいるのを見たけれど、今年は自分でしっかり夏を閉じられるのかな。そのくり返し。

*  *  *

2018年の9月1日の夜は、『GINZA 2018年9月号』の「フルーツと文学」特集を読みながら、ひさびさにクーラーをつけないで過ごした。もう秋の気配。

実はちょっと前まで、きまぐれに雑誌*1を買う自分の姿なんて、想像したこともなかった。いまでも、ときどきふらっと雑誌を買ってみるとそわそわする。

ちなみに、いちじくを食べた8月31日の夜には、若合春侑無花果日誌』(角川文庫)を読んだ。だいすき。

GINZA(ギンザ)2018年9月号[まずはブーツとバッグから! サマーレディの秋支度。]
 
無花果日誌 (角川文庫)

無花果日誌 (角川文庫)

 

 

#サマータイムサマータイム 

*1:ファッション誌やライフスタイル誌は、いままでの私にない文脈がたくさんあって楽しい。驚くほど、そういったものを手にしてこなかった

本を薦めた記録:2018.6.12(3冊)

久しぶりに会う友人とお互いに自己完結しあった結果*1、ランチのお店のほかにとりたてて予定を立てないでいた日だった。ランチとカフェとをはしごして、どこへ行こう何を行こうと話したところ、「本を一冊お薦めしてほしい」ということで、本屋へ向かった。

道すがら、何度か「一冊だけよ、一冊だけだからね」と念押しされる。そう言われるに足る前科があるのだった。わかりましたと頷いて、どんな本がいい? と訊ねた。一冊完結がいいか、シリーズでもいいか。厚い本がいいか、薄めがいいか。

本屋にたどりつくまでは、何をお薦めするかほとんど考えていなかった。棚を前にしたら、だいたいどうにかなる。今日もそうだった。

あれこれ話しながら、端のほうから順繰りに見ていった。

 お題:「好きそうな本」/ 一冊だけ買って帰る / 文庫 / シリーズでも一冊完結でもいい / ジャンル・厚みの指定なし

宝石商リチャード氏の謎鑑定 (集英社オレンジ文庫) 後宮の烏 (集英社オレンジ文庫) 王女コクランと願いの悪魔 (富士見L文庫) 探偵が早すぎる (上) (講談社タイガ)探偵が早すぎる (下) (講談社タイガ) 蝶のいた庭 (創元推理文庫)

好きそうな本を五冊くらい(気がついたら上下巻がするっと混ざっていた)紹介した。

何度も本を薦めたことがある友人なので、何となく……ではなく、こういうの好きだよね、というポイントがわかっている。そういう人に薦めるときは、いつも「ぜったい好きそうな本」に、「これは選ばないかもしれないな」という本と、「これを選んでくれたら面白いな」という本を混ぜることにしている。

文庫コーナーの端までたどりついて、はてさてどれを選ぶのかな〜とわくわくしながら来た道を戻る友人の背中を追う。ときどき棚の間に入って本を抜いていくので、もう一度比べてみるのかなと「その中のどれか?」と訊ねると、「こうなることは分りきっていました。いつもこうなる」と、内三冊がお買い上げされることになっていた。

本屋を出て、「はやく読みたいから帰るね」「そうして」とすぐに別れた。

誰かに本をお薦めすると、自分のなかの「好き」がうっすらと広がっていくような気がするのがいい。あわよくば(でなくとも)気に入ってほしいし、楽しんでほしい。それに、まずはただ読んでみてほしいのだった。

読んだら教えてもらえるので、ひそかに楽しみにしている。いい日だった。

 

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2018.6.12 お薦めして購入された本:3冊

白川紺子『後宮の烏』 (集英社オレンジ文庫)

入江君人『王女コクランと願いの悪魔』 (富士見L文庫)

ドット・ハチソン『蝶のいた庭 』(創元推理文庫)

*1:お互いに、相手はどうなんだろうとぼんやりと考えて、まあ問うまででもないかと終わっていた